仏教行事・仏教儀式

こちらのコーナーでは、仏教のさまざまな行事の説明や法要、仏事のことをご紹介しています。浄土宗に基づく説明になっているところがあります。ご了承ください。

橋本知之

修正会(しゅしょうえ)

国の平和・社会の平和・町の平和・家庭の平和、家族円満 を願う日です。

与えられた《命》に改めて感謝し、いかに生かすかを 考え・思い・お誓いする儀式が修正会です。

人は一人では、生きていけませんね。そのことを真摯に受け止めましょう。

そして子や孫に何を残し、何を伝えていけるかを考えることが大切です。

涅槃会(ねはんえ)

お釈迦さまの入滅(亡くなられた)された日。2月15日に行われる行事です。

仏涅槃図(ぶつねはんず)がかけられ、お釈迦さまの最後の説法である遺教経(ゆいきょうぎょう)などを読誦し法要が行われます。

涅槃とは、煩悩の業火を消すという意味で、苦しみや迷いから解脱した悟りの世界のことです。

ですから、苦しみからの解脱を 私達に伝え下さったお釈迦様の亡くなられたことを涅槃と呼び、その教えを仰ぎ慕うのが涅槃会の大事な意義です。

花まつり(はなまつり)

陰暦四月八日。お母様が出産の為の里帰りの途中、綺麗に花咲く丘で少し休息をとられていた時に、七宝の鳥の鳴き声が聞こえ、天より甘露の雨「甘茶」が降り始めた中、お生まれになりました。

そしてお釈迦様は七歩歩かれ『私の命は 何よりも 尊い』といわれました。

花まつりの日は、色んな草花で飾った花御堂(はなみどう)を作ってその中に灌仏桶を置き甘茶を満たし、誕生仏の像をその中央に安置し、柄杓で像に甘茶をかけてお祝いをします。

宗派関係なく仏教徒であれば、お祭りお祝いします。

寺院ではこの甘茶がふるまわれ、甘茶を頂くと健康でいられる・甘茶を入れて習字をすれば上達すると言われたりもします

※お釈迦様は、この世にお生まれになられ、七歩歩まれて 天と地を指差して 『天上天下唯我独尊』(てんじょうてんげゆいがどくそん)と言われました。
七歩とは、六道[地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天人]輪廻の世界 迷いの世界を出て 悟りの世界に往かれる尊い方である事を伝えているわけですが、今私達は、この「我」を私自身と受けとり、この命を人間として生まれさせて頂き、仏教に会わせて頂いている尊い私である。
その尊い命を私自身が大切にして、この世において精一杯生き、必ず迷いの世界から幸せの悟りの世界を求めるのだと、七歩歩むのだとお教え頂いていると受けとりましょう。

彼岸会(ひがんえ)

日本では、昔から

春彼岸 : 毎年3月の春分の日をはさんで前後3日合計7日間

秋彼岸 : 毎年9月の秋分の日をはさんで前後3日合計7日間

で、それぞれに彼岸の行事が行われています。

昼間と夜間が、同じ時を刻み。太陽が真西に沈む、その先に本当の幸せがあると手を合わせ 春は自然をたたえ、生物をいつくしむ日、秋は先祖・人々を敬い、偲び感謝する日と日本の祝日としても しめされています。

法然上人の師である中国の善導大師が「春分と秋分の日には太陽が真西に沈むので、日没の彼方にある極楽を想い、敬慕の心をもつべきである」と説いているように、太陽の沈む方向に向かって、極楽に往生したいと決意を新たにするのが「お彼岸」です。

また、この一週間は、六波羅蜜〔布施,持戒,忍辱,精進,禅定,智慧〕の行を修め、日常の生活を反省し、仏道と信仰の実践週間として、今日に伝えられている日本の行事あり、祝日に定められています。

日本の大切な文化・行事の意味をしっかりと理解して伝えていくことは、大人の大切な役目であります。
私たちの子や孫が、これからも日本という国で暮らし、日本文化を継承していくのです。足元から考えましょう。

お寺でご先祖様の供養をする、お墓参りをする。ご先祖様を祀る親の姿、自然や社会に感謝する親の姿を子ども達は 見ています。
日本の祝日になっている意味を考えて、行動したいものですね。

施餓鬼会(せがきえ)

その餓鬼が阿難尊者に 「おまえの命は、後3日、3日後は私と同じ餓鬼の世界に堕ちるのだ!」と告げたのです。

驚いた阿難はお釈迦様に相談したところ、お釈迦様は、阿難に 施餓鬼法を授けました。

その法にしたがって法要を行なうことを、【施餓鬼会】と言い、一般的にしたがってお施餓鬼と言われています。

本来、私達も阿難尊者と同じように、毎日 施餓鬼をして 日々の罪を洗い流すべきなのです。

現在では年に一度、関東地域などは、大施餓鬼会として行われ、関西地域などは、盆施餓鬼として行われています。

盆施餓鬼とは、お盆の時期に施餓鬼の法要形式で盂蘭盆の法要を行っているという事です。

毎日、知らずしらずに積み重ねている『罪』を一年に一度、ご先祖さま、お父さん・お母さんに<怒られ・褒られ>供養させて頂き、「また・一年頑張ろう!」と決意をあらたにできますよう、それぞれのお寺の盆施餓鬼にお参りください。

盂蘭盆会(うらぼんえ

家の庭先か菩提寺で、(火をたき)迎え火をして、ご先祖を迎え、十五日に又、送り火をして、浄土に送ります。

元々七日間お供養されていた事ですが、現在は、お祭りの期間もお供え、ご供養の形も地域により様々です。

変わりのない事は、家にお迎えしている間は、色々なお供え物(供養)をして、ご先祖に感謝をするということです。


【盆の仏壇のお供え、一例】

祭り方については昔から色々言われておりますが、現代の社会情勢の変化でなかなか昔ながらのお祭りの仕方ができなくなりました。
しかし忘れてはいけないのは、そのお祭りという形式を通じて育てられる心があるという意図です。
私達がお仏壇を祭るときの心得は、ご先祖様(親・子)がまさに今おうちに帰ってくる・来てくださるのだという事をしっかり心に踏まえてお祭りすることが一番大切なことです。

盆提灯...明かりを通じて間違えずにここが我が家ですよという伝える思いからのものです。
ほおずき...提灯のかわりにお花にお供えする地域もあります。

普段のお供えのときよりも立派なお花を供え、自分がいいと思う香りの線香をたいてみるのもよいでしょう。

【お盆にご先祖様が少しでも早くかえって来て、少しでも長く滞在してほしい】その思いを形に表したもの

きゅうりに四つの棒をさして、馬を表したものを飾ります。早くご先祖に会いたいから馬にのって早く帰ってきてください。またなすびに四本の足をさし、牛を表したものを飾ります。少しでも長く一緒にいたいから牛にのってゆっくりと極楽浄土に帰って欲しいという思いです。

お供えものは、世間にみせる為のもの(お坊さんなどみせる為のもの)ではありません。
ご先祖様(親や子)がそこにおられると思って、常に新しいお供えものをし、そしてそのお供え物をいただいてご先祖への感謝を実感しましょう。

好きだったものをお供えして一緒に頂くという形にあらわれるのです。


そのような理由から、できあいのものや、飾りだけのものは好ましくなく、ご先祖様と一緒に頂きたいと思うものを、そこにおいて、みなで手を合わせて感謝して、お下がりをすぐにいただきましょう。
(何時間もお供えものを置きっぱなしにしないように心がけましょう。)

お仏壇はいつも通りですが、特別この時期にはこのようなことをしてください。
なぜならお盆にはそこにご先祖様が本当にいらっしゃるのですから。

思いは形に表れ、形は心を育てます。

※昔は極楽浄土であるお仏壇からご位牌をだして、その一つ一つのご位牌にお供え物をしました。

十夜会(じゅうやえ)

浄土宗では 一番歴史が古い鎌倉光明寺の十夜法要を見ると 本堂の中を 歩き回ったり‥ 色々な節を付けてお経を読んだり 鐘を叩いたり 念仏に節をつけて もうそれはカーニバルのようです。
全国にも節を付けて唱える念仏が沢山有ります。

簡単に言うと、これらは全て 【すぐ飽きてしまう情けない私達にうまく伝えるため、楽しくお念仏に触れて頂けるように】と、先祖祖師方が考えて下さった事であると思います。
この縁を私達は大切にしたいものですね。

前置きはさておき、肝心なお十夜の由来と意義を下記に記します。

お十夜は『無量寿経』に「この世で十日十夜お念仏に励むことは、極楽浄土で千年修行するよりも優れている」と、説かれていることを典拠にしています。

日本では15世紀に平貞国によって京都の真如堂で最初の十夜法要が行われました。

浄土宗では、明応4(1495)年、後土御門天皇のお招きで、鎌倉光明寺祐崇上人が宮中で『阿弥陀経』の講義後、真如堂の僧とともに十夜法要に参加して、いたく感激し、天皇に光明寺でも行いたいと懇願し、勅許を得て、厳修したことが始まりです。

お十夜は、法蔵菩薩が阿弥陀佛になられた事を お祝いするとともに、その教えに対する報恩と感謝の気持ちを表す法要です。

成道会(じょうどうえ)

「灌仏会」「涅槃会」とともに、釈尊の『三大会』の一つです。

お釈迦様の悟りの内容を一言で言うならば《苦しみからの解脱の教え》です。

私達が 幸せに生きていくための教え。

よって全ての仏教徒〔仏教を信仰している人〕は、この時(釈尊成道)に 信心の決意・報恩感謝の法要を行います。

浄土宗においては、師走12月8日をその日と定め行われています。

大切なことは、お釈迦様は、自ら『私は悟った』とは、言っておられないということです。

お釈迦様の話しを聞いた人が、『お釈迦様は悟られた。あなたは覚者だ。』と 言われたのです。

除夜の鐘じょやのかね)

人間には 自分自身を狂わす百八の源<煩悩>があります。

この煩悩を 鐘の音・響きにて消し落として、新たな年を迎えます。

『新たな年は‥今年よりもっといい年になります様に‥』と、願いながら。。。

葬儀式と告別式(そうぎしきとこくべつしき)

告別式とは 民族の文化・習慣で 形作った(お別れ会)でのことをさしますので、告別式は 亡き人が 喜んでくれるであろうという思いで行える式です。

一方、葬儀式とは 宗教儀礼に従って行う儀式をさします。

よって葬儀式は決まっています。この世に 命を受けた者が 次の世に 生まれかわる大切な儀式だからです。

信仰を持っている者は次の世の行き先は決まっているのです。

たとえば浄土宗では... 法然上人のみ教えに従って、そのお導きを信じて、この世で精一杯生きた者は、阿弥陀仏が作られた国-極楽浄土に行く・往生するのです。

阿弥陀仏を信じて、お念仏を唱えたものは 、阿弥陀仏がお迎えにきてくださり【来迎-らいこう-】 、阿弥陀仏の国-極楽浄土に連れていってくださる【引接-いんじょう-】のです。

これを形にして行うのが 浄土宗の葬儀式です。

お仏檀(おぶつだん)

我が国日本では、檀家制度で 先祖代々の宗派が決まっています。

本来の信仰は、そんなものでは無いですね...、自分自身の信仰ですから 。

しかし、先ず最初に先祖との ご縁を大切に考えて頂きたいのです。

仏壇とは自分が信仰している 佛様を お祭りして ご先祖さまに 手を合わせて 感謝し、日々の生活の糧に するのです。

自分一人の力で生きてきた、生きているのではなく、ご先祖さまのお陰で、自分が生かされていると 気づいた人は、 仏壇を祭って頂き、ご先祖さまに感謝の気持ちをもって、暮らしを営んでいただきたいものです。

仏壇を家の中心に置く事によって、家族みんなに 感謝の心が生まれ、優しい思いやりのある心を育てる事にも つながるのです。

《浄土宗のお仏壇の祭り方》

自分自身の信仰をあらわす場所がお仏壇です。一番大切な事は『毎日手を合わす』ことなので、その手を合わす対象として認識してください。正面にお祭りする、阿弥陀佛の お姿・お顔が、 自分が気に入っているものを求めましょう。
正面に...阿弥陀佛 向かって右...観音菩薩 向かって左...勢至菩薩 この三像で...『弥陀三尊』と言います。向かって右端に...善導大師 向かって左端に...法然上人一般の仏壇は、阿弥陀佛と善導大師・法然上人をお祭りしている形が 多いです。その下の段にご先祖の位牌をお祭りします。一番手前には正面...線香 向かって右...灯明 向かって左...花をお供えします。その他の、荘厳(飾り物)は、お仏壇のサイズに合わせて、自分自身が拝みたくなる様な、飾りを考えて頂ければよいです。お水・お茶などは、毎日お供えするものですから、お供えやすい所に置けばいいです。大切な心得は《お父さん・お母さん・我が子》が そこに 居ると思って お供えする事です。そのような心得でいると、お供え物が 置いたっきり!って事にはなりませんね。